これは、「オフレコ」の「フラッシュセール」にて2352円で購入した Etienne Pradier の3枚組DVDのうちの1枚で(3枚組DVDなので、ボリュームを考えて、1ディスクずつ分けて紹介する事にしました。「disc 1」はコチラ。「disc 2」はコチラ)、このディスクに収録されているのは「Bloody Dogs」と「Live at Houdini's」です。

~ Bloody Dogs ~

 このDVDの事は全く知りませんでしたが、ちょっと調べて観たところ・・・Gary Jones とのコラボDVDで、コレを取り扱っているショップはほとんど無いようです(「オフレコ」にはありました。2444円也)。

 その理由は、DVDを観て分かりました。最初から最後までひとつとしてまともなマジックは解説されておらず、悪ノリが過ぎる内容となっています。
 最初はそこそこ楽しみながら観ていましたが、途中で「ひょっとして全編こんな感じなのか!?」と疑い始め、最後の方でそうだと分かったときは、怒りを通り越してあきれ果ててしまいました。
 「disc 1」、「disc 2」が満足のいく内容なら、こういう内容のDVDも笑って観られたかもしれませんが、もはやレビューする気にもなれません(一応、両氏とも5作品ずつ解説もしているのですが・・・)。

 と言うわけで、とっとと最後の最後「Live at Houdini's」に話を移しましょう。

参考動画



~ Live at Houdini's ~


 このDVDは、「オフレコ」「I-Magic」で3666円で今も販売中ですが、どうだったかと言うと・・・この「THE COLLECTION」に含まれる5タイトルの中で「質」「量」とも一番充実しており、値段に見合う唯一のDVDだと思います。これなら単独で買っても納得できるのではないでしょうか!?
 ただ、納得できると言っても、個人的に付けている「星」で言うと(参照 「①>人名索引 」)、3.5程度なので、特にオススメする程ではありません。では、全ての作品を紹介していきます。

「Card Under Pen」 胸ポケットに挿しているペンのクリップに留めていた裏向きのカードが客が自由に言ったカードになっています。ま、悪くはありませんが、カードを胸ポケットに挿しているペンのクリップに留めておくというアイデアを活かしきれていません。
「Rope Routine」 切ったロープの長さを揃えようと、客に端を切ってもらいますが、なかなか揃わないという手順。最後は3本にカットし、端を結び1本にしますが、結び目が取れてしまいます。ロープマジックはサロンでもできるので、興味がなくても2,3コ覚えておけば色々重宝しますが、その2,3コの中に入れても良さそうなオーソドックスな作品です。
「Pen Sandwich」 客のカードが胸ポケットに挿しているペンのクリップに留めておいた2枚の絵札の間から現れます。次に、そのカードをデックの中に入れますが、デックのトップに表向きで置いた2枚の絵札が一瞬で消え、デックの中の客のカードをサンドイッチします。
 この作品もカードを胸ポケットに挿しているペンのクリップに留めておくというアイデアを活かしきれていませんが、手順自体は悪くありません。
「In My Wallet ?」 デックのトップに表向きで置いていた2枚のAのうち1枚がボトムに移動し、さらにAが2枚とも消えて、デックの中で客のサインカードをサンドイッチしています。次に、2枚のAとその間のサインカードがあらかじめポケットに入れておいた2枚のQに変化し、ポケットからサインカードが出てくると思いきや、全く別のカードで「あなたのカードは私の財布にある」みたいなメッセージが書かれています。で、財布の中を確認すると、2枚のAの間にサインカードが挟まれて出てきます。まずまず。
「Memory With A Twist」 3人の客に選んでもらったカードがいつの間にかグラスの下に移動しています。さらに、その3枚のカードのうち1枚がポケットから現れます。で、手に持っていたデックが消え、1枚だけになっていますが、それも客のカードです。さらに、残りの1枚は財布の中から出てきます。これもマズマズ。
「ESP Aces」 客が選んだバラバラの4枚のカードが4枚のAに変化します。技法が参考になった。
「Coin Voyage」 銀貨と銅貨をグラスでカバーし、客にグラスをゆっくり動かしてもらうと銅貨が消え、客が持っていたペーパーボールの中から現れます。初心者でもできそうなくらい簡単なのが良い。
「Watch Coincidence」 演者の腕時間の周りに沿って指を動かし、客にストップと言ってもらうと、客にもたせておいた腕時計がその時間になっています。即席でできるのが良い。
「Pablo Aces」 4枚のAがデックの上で1枚ずつ消えていき、そして1枚ずつ現れます。Aが1枚ずつ消えるところはビジュアルかつ比較的簡単にできるので結構気に入りました。
「Magic Castle」 まずジョーカーを裏向きでテーブルに置いておきます。で、1枚のカードを選んでもらい、デックに混ぜ、演者がデックから4枚のカードを取り出すと、4枚とも客のカードではありません。しかし、4枚とも客のカードに変化し、さらに4枚のAになってしまいます。そして、テーブルに置いておいたカードを確認すると、ジョーカーではなく4枚のAになっており、手に持っていた4枚のAがジョーカーになっています。まだ続きます。ジョーカーを4枚のAの中に入れると消えてしまい、さらに4枚のAが最初の関係ないカードに変わり、客のカードは財布の中から出てきます。
 いわゆる「Anywhere And Nowhere」のバリエーションですが、現象的にチョット詰め込み過ぎのような気がします。
「Best of 4」 トップカードを見て(赤の7)、もう1枚の赤の7を出そうとしますが、違うカードが出てきます。そこでそのカードを赤の7に変化させてしまいます。さらに7のカードを出そうとしますが、次はJが出てきます。そこで、2枚の赤の7を2枚のJに変化させてしまいます。最後に4枚目のJを出そうとしますが、今度はAが出てきて、3枚のJをAに変えてしまいます。
 プロットは悪くありませんが、まだまだ改良の余地がありそうな気がします。
「Cosack Pen」 名刺の裏に書かれた謎の文字を火であぶると客のカードの名が現れます。ぶっちゃけ、あのペンを使っているだけです。
「PDQ Change」 連続カラーチェンジ。バックパームを使うカラーチェンジは思わず騙されました。
「Marriage」 「The Anniversary Waltz」の改案は「disc 1」にも収録されていますが、こちらの方が簡単にできるようになっています。個人的には「disc 1」の「The Wedding Test」の方が好みでしょうか。
「Impposible Sandwich」 ボーナス。客がシャフルしたデックから客のカードをサンドイッチで探し出します。タイトル通り不可能性は高まっていますが、見るからに怪しいこの演技を観ては演じる気にならないでしょうか。

参考動画



~ 総評 ~

 この「THE COLLECTION」購入当初は、そこに含まれる5タイトル全てにかなり期待していました。具体的には、それぞれ最低でも星3.5以上の満足度はあるだろうと・・・。

 それがフタを開けてみると、最高で星3.5くらいのものが、辛うじてひとつだけという結果に・・・。正直言って、不満しか残っていない感じですが、5タイトルそれぞれを定価で買っていたなら3万円弱したわけで、それを2352円で買えた事を考えれば、文句の付けようがありません。

 ちなみに、私が独断と偏見で5タイトルを査定すると次のようになります。

「The Professional Repertoire of Etienne Pradier」が4500円。
「French Bred Winners」が2500円。
「Signed Card in Sealed Bottle」が2500円。
「Bloody Dogs」が500円。
「Live at Houdini's」が4000円。

 合計すれば14000円・・・感覚的にはもっと低くて、1万円以下という感じもしますが、仮にそうだったとしても、かなりお得な買い物ができた事になります。
 したがって、特にオススメはしませんが、あまり期待せずに買えば、そこそこ満足できると思います(私は期待が大きかったので、イライラし通しでしたが・・・)。